色彩箔の「技術」

TECHNIC

色彩箔は、他の一般的な印刷技術とは少し違う製造工程を経て生まれます。
製造工程を理解し、色彩箔のクオリティを最大限に引き出すことで、色と光の組み合わせを楽しむことができるのです。

色彩箔を作るためのプロセスや製造工程、そして特に気を付けるべき重要なポイントについてご説明いたします。

色彩箔の印刷工程

色彩箔の印刷工程は、通常の印刷とは異なります。

まず、デジタル印刷機を使用して箔の部分をモノクロで印刷します。
その後、デジタル加飾印刷機に投入。デジタル加飾印刷機ではトナーの部分に箔が付着します。ここでデザインに華やかな箔の輝きが加わります。
その次に、再びデジタル印刷機でカラー印刷を行います。
この工程により、カラフルな要素がデザインに加わり、箔の美しさとカラーの鮮やかさが絶妙に融合します。

デジタル印刷機

箔になる部分をモノクロ印刷します。
必ずK100%で作成します。グレーはNGです。

デジタル加飾印刷機

トナー(黒い部分)に反応して箔が付きます。

デジタル印刷機

カラー印刷します。
箔の上にも印刷可能です。

箔の表現範囲

色彩箔の特長の一つは、細かな線やディテールも箔で緻密に表現できることです。細い線や小さな文字など、従来では難しいとされた要素も、箔の輝きによって美しく表現されます。

どのくらいの細かさまで箔が付くかを調べるために印刷見本を作成しましたが、実際の仕上がりは、用紙やデータの内容など、条件によって異なります。参考程度にお考えください。

※印刷見本ではコート紙(180kg)を使用

文字サイズ

小塚明朝で確認しました。
L・R:6pt以下のサイズでは箔の乗りが不安定でした。
M・B・H:3ptの文字にも安定して箔が付いています。
※書体・用紙により仕上がりが異なります

細線

0.1〜0.3ptの線は箔の乗りが不安定でした。
0.4pt以上の線であれば問題ないようです。
※印刷内容・用紙により仕上がりが異なります

網点(平アミ)

60〜20線の見本です。
濃度90%・10%ではムラや欠けがみられます。
濃度80〜20%は、おおむね問題ないようです。
※印刷内容・用紙により仕上がりが異なります

網点(写真)

60線・50線:濃度の高い部分と濃度の低い部分で若干の乱れが見られます。
40線:安定して箔が付いています。
※印刷内容・用紙により仕上がりが異なります

制作の注意点

色彩箔の製造において、いくつかの重要な注意点があります。これらのことに留意してデザインを調整することが重要です。

注意点を把握して、お客様のデザインを最高の品質で実現できるよう努めています。

箔用の黒版にグレーはNG

デジタル印刷機は高解像度で印刷されるため、グレーの部分は大変細かい網点で出力されます。
しかし、網点が細かすぎるとデジタル加飾印刷機でうまく箔が付きません。箔が付かないため、グレーの印刷がそのまま露出することになります。

こういった場合は、印刷データを60線以下の荒い網点で作成します。
※条件によって仕上がりが異なります

箔に重ねてカラー印刷したところはツヤがなくなる

箔の上にカラー印刷する場合、トナーが乗ることによって箔のツヤがなくなります。 トナーが乗る量が多いほど(色が濃いほど)ツヤが無くなります。黒のトナーは特にツヤが無くなるようです。

箔らしい光沢を見せたい部分は、カラー印刷をしない、または色を薄くする必要があります。

箔とカラー印刷のズレ

箔の部分とカラー印刷の部分は、別々に印刷するため、ズレが発生することがあります。(1mm程度)
多少のズレを考慮したデザインにする必要があります。

用紙によって箔は違う表情になる

用紙の表面の平滑度(なめらかさ)によって、箔の表情が異なります。

平滑度が高いキャストコート紙やコート紙では、箔らしい輝きが出ます。 マットコート紙や上質紙では、ツヤは抑えられ落ち着いた光沢になります。
レザックなどのエンボス紙では箔がうまく付きませんので使用できません。